2014年5月31日土曜日

朝鮮戦争 金日成とマッカーサーの陰謀

朝鮮戦争 金日成とマッカーサーの陰謀
著 萩原 寮
文藝春秋

朝鮮戦争の末期にアメリカ軍が平壌を制圧した際、160万ページという膨大な文書を入手しワシントン米国国立公文書館に保存
30年の時を経て情報公開法に基づき公開され、著者が二年以上掛けて160万ページ全てを調べあげた当時の北朝鮮政府側から朝鮮戦争を描いた書である

まず、金日成は偽者だったことを明らかにしている
当時、朝鮮は日本の支配下にあり、それを嫌った少数の朝鮮人は中国やソ連に逃げ込んだ
後にソ連は日本支配下の朝鮮に進行し見事制圧に成功、日本軍を追い出した

ここでソ連とアメリカ軍で38度線を堺に朝鮮を分断し、いわいる北と南に分ける

ソ連に逃げ込んだ朝鮮人の一部はソ連軍に入りその一つに第八十八狙撃旅団というソ連人、中国人、朝鮮人の混成部隊があり、ソ連のスターリンはその旅団の朝鮮人の一人(キム・ソンジュ)を金日成として祭り上げ北朝鮮に戻した

面白いのは、偽者の金日成が初めて7万人の前で演説を行った際、
「え~~っ、こいつは金日成じゃねーよ、偽者だーっ」
ってブーイングがおこった部分だ
それもそのはず、本当の金日成は五十歳を超える白髪の外見のはずなのに出てきたのは三十歳くらいの”あんちゃん”だったからである
しかし時すでに遅くソ連の組み込んだ秘密警察システムがすでに北朝鮮には完成していてこの演説も結局最後には
「金日成マンセー」
の大合唱に聴衆は誘導されソ連コントロール下の偽金日成が北朝鮮を統治し始めるのである

やがて偽金日成は南に進行したがり、スターリンもそれを認めて周到な準備の末、実行
3日で南を制圧する作戦が、実は偽金日成の周りにはアメリカのスパイが55人も食い込んでいて3年も戦いは続き遂にはアメリカ軍に平壌を制圧されてしまうのであった

ここでもう一つ面白いのがマッカーサー率いるアメリカ軍はスパイを食い込ませていて偽金日成が南に進行してくるのを知っていてわざとやらせている所、アメリカ軍が北に入る理由を造ってる部分

偽金日成もマッカーサーも本当、陰謀好きだったんだな
それにしても本当の金日成はどこ行っちゃったんだろうねー、日本軍が斬っちまったのか?スターリンにぶっ殺されたのか?北朝鮮と中国の国境あたりで野垂れ死んだのか?空想の人物だったのか?これのどれかだとは思うけど....

補足情報:著者 萩原 寮氏は赤旗平壌特派員を1年経験、後フリーに転身

著者の精密な分析で当時のソ連と北朝鮮の関係が解ったので4点
★★★★☆



わが生地 わが故郷  陸海軍徴兵令施行さる

わが生地 わが故郷  陸海軍徴兵令施行さる
著 佐久間 豊吉 
渓声出版


佐久間豊吉が赤紙徴兵をうけてのWW2手記
東京で漁師だった佐久間が入隊し体験した事を超リアルに書いてる
そして何より僕の母方の祖父が佐久間の上司「中村軍曹」として何度か登場している僕にとっては特別な一冊
佐久間は日本軍隊の中のいじめ問題をことさら気に掛け改善に努めたり、戦中の剣術大会で優勝したりと精神、肉体、技術、思考全てにおいてリスペクト出来る人物である

世界や日本がだんだんと戦争に向かっているような今日日、近代史を学ぶ上での最初の書となったこの本を僕が読むのは必然であったと思えてならない
5点満点
★★★★★